一節入魂　 VOL．２４

新企画　since 2007.8.1

　 VOL．２４

　　２００９年８月１日更新　

今回の歌唱曲は　ビートたけしの「浅草キッド」 です

最近はお笑いブームであるけど、今をときめくスターであっても、みなそれぞれに下積み時代があるはずだ。この歌の作詞作曲者・ビートたけしも浅草のストリップ小屋時代は売れない芸人だった。それが第一次の漫才ブームでツービートが当たり、その後の活躍は日本を代表するお笑い芸人のトップであることが証明している。また政治や世相を斬るコメンテーターとしても頭脳明晰・切れ味抜群であり、映画監督としても世界に名を轟かせている。そんな彼の実体験を綴った歌詞は切なく、哀愁を帯びた濁声とどこか懐かしいメロディは、聴く人の心をわしづかみにするという表現が一番ピッタリくる。苦労した若手・中堅芸人などは、この歌に対する思い入れがそれぞれにあり、強いはずだ。
うちの息子も高校を卒業して浪人中にレゲエと出逢い、将来はシンガーとして生きると決めたものの途中で紆余曲折を経験し、就職を試みた時期があった。しかし最初に勤めた会社は売れそうもないまがい物を訪問販売するあやしい会社であったり、風俗系の宣伝広告を取ってくるスポーツ芸能誌であったりと、どこもみな長続きせず辞めてしまった。就職祝いに買ったスーツや靴、時計も無駄になり、中学の先輩から勧められた儲け話も詐欺の片棒を担ぐような犯罪行為で、結局大きな借金だけが残るという不幸な結末だった。でも、歌を諦めず止めなかったお陰で、昨年くらいから少しずつ売れ始め、いいバンドや音楽仲間にも恵まれ、CDにコンビネーションで入れてもらい、東京や地方でもステージに声が掛かるようになった。昨年には初となるワンマンライブも敢行。今年4月には念願のメジャーデビューも果たした。大阪城野外音楽堂であったイベントでは全国区の有名人気バンドのメンバーに混じって、5000人以上集まったオールスタンディングライブ会場で歌うことができた。着実に一歩一歩階段を上ってきた彼には、この歌の歌詞にあるように「夢を捨てなかった」ことが大きな自信と糧になって身に染みついたことだろう。中にはレゲエをやめ、この世界から去っていった仲間もいるという。その理由は人それぞれであろうが、続けて残ることの大切さを学んだことは、これからの人生にもきっと生きてくると思う。
「そんな時代もあったね」と懐かしむことができた人生は幸せだろう。
夢は捨てなければいつか叶う。他にあてなき人生ならば、とことんいけるところまで行くがいい。
僕がやっているテニスや写真にはあまり関係ない話しだけど、夢を持つことやその大切さを伝えていくことは、これまでに知り合った素晴らしい人たちの生き様を伝えていくことになる。それが使命と気づいたのだから、僕もこの歌を歌い続けながら生きていくだろう。けっして上手く歌えなくても、心に残るような歌い方がしたいと思う。息子にも、うまく歌おうとか思わずに、人の心にメッセージが届くようなシンガーになってほしい。歌の上手い歌手はいっぱいいるのだから、ナンバーワンになるのではなくて、オンリーワンの何かが感じられる歌い手になってもらいたい。それは親が口に出さなくても本人が一番良く判っていることだろう。だってお前は俺の子だから･･･

歌はエンドレスで繰り返し再生されます。聞き飽きたら、或いは聞くのに
耐えられなくなったら、気分が悪くなる前にカラオケルームからご退出下さい。