一節入魂　 VOL．１８　同期の桜

新企画　since 2007.8.1

　 VOL．１８

　　２００９年１月１日更新　

今回の歌唱曲は　同期の櫻 です

　　作詞　西条八十　作曲　大村能章　

一番	貴様と俺とは同期の桜　同じ兵学校の庭に咲く　咲いた花なら散るのは覚悟　みごと散りましょ国のため
二番	貴様と俺とは同期の桜　同じ兵学校の庭に咲く　血肉分けたる仲ではないが　なぜか気が合うて別れられぬ
三番	貴様と俺とは同期の桜　同じ航空隊の庭に咲く　仰いだ夕焼け南の空に　未だ還らぬ一番機
四番	貴様と俺とは同期の桜　同じ航空隊の庭に咲く　あれほど誓ったその日も待たず　なぜに死んだか散ったのか
五番	貴様と俺とは同期の桜　離れ離れに散ろうとも　花の都の靖国神社　春の梢に咲いて会おう

僕の周りには同世代が多い。同級生や同窓生達はもちろんだが、大人になってから知り合った人や、友だちになった人、テニス仲間、仕事仲間も不思議と同い年前後が集まってくる。昭和３０年代生まれという共通項があるだけで、子どもの頃の思い出や当時流行ったテレビ番組、歌、遊びなども思い出が共有でき楽しいのだが、何よりも価値観が近いと言うことがうれしい。いろんな職業、立場の人から刺激を受けることが財産になる。カメラを撮り始めて知り合った中にも、趙博さん、のむらあきさん、笑福亭伯鶴さん、ちんどんの林幸治郎さんなどがいて、テニスの福井烈さんは、ひとつ違いだが日本一元気な５１歳を自認していて、僕も日本一元気な５２歳を目指そうと思っている。（同じ年でなくてヨカッタ。いっしょだったら僕が日本で２番目デス･･･^^;）

学生時代、カラオケがまだ普及していなかった頃、大学のコンパと言えば車座になって呑み手拍子で歌うことが定番だった。二部の大学だったので、社会人の先輩の中には旧制高校の寮歌や軍歌を十八番（オハコ）にしている強者（つわもの）がいた。僕はそんな人達や職場の先輩から影響を受け、そして何よりも歌が好きだった親父の影響で懐メロなかり聴いていて歌詞を覚えた。
仲間意識というのは、同郷、同世代、同じ職業というだけで盛り上がり、いま会ったばかりの者でも手を握り肩を組むだけで何十年といっしょにやってきた友だちのようになれた。そして、そんな仲間との宴会で歌うのは軍歌「戦友」であり「同期の桜」であった。

　ここは御国を何百里　離れて遠き満州の
　　赤い夕陽に照らされて　友は野末の石の下　　～「戦友」一番の歌詞～

歌詞に出てくる満州という地名のとおり日本帝国が中国大陸に出兵した時の歌だが、戦意を鼓舞するような好戦的な歌ではなく、むしろ満州という祖国から遠く離れた極寒・異国の地で闘わなければならなかった悲哀や友を亡くして帰国する悲しみを詠んだ反戦・厭戦の歌だったと思う。戦後に生まれた我々の世代からすると、他の軍歌とは明らかに異なった雰囲気が感じられ、１４番まである歌詞をすべて空で歌えた僕に、聴く人たちは途中でさみしくなり止めてほしかったのかも知れない。
それに比べて「同期の桜」は、キモチが高揚する元気が出る歌である。戦争を賛美する気はなく、歌詞の是非を議論することはしないが、ひとりの日本人として、桜が好きなことと、ひとつの目的・志のために集まり出逢った仲間を思う気持ちが、この歌から滲み出て感じられ、好きなメロディーのひとつである。
春、四月は出逢いと別れの季節でもある。これまでの半世紀で出逢った一人一人を思い浮かべて歌いたい。いつか「離れ離れに散ろうとも」花の都のあの思い出の桜の木の下で「春の梢に咲いて会えたら」いいやろなぁ･･･　こんなことを思うようになったのはトシのせいか。２００８年はケガも多くてあまりイイトシではなかったから、今年こそは元気で１年を突っ走りたいと思う。応援宜しくお願いします。