パギさんVOL．22　歌うｷﾈﾏ『ﾏﾙｺﾑX』

　２００２．７．１　更新

路上的旅人　趙博さんを撮る　VOL．２２
＜不定期更新中＞

昨年来、趙さんが予告していた「歌うキネマ」がついに大阪でそのベールを脱いだ。
生前、趙さんが師と仰ぐマルセ太郎が得意としていた「スクリーンのない映画館」を
趙さん自身が「いつか真似たい」と思いながら、構想を温めていた「芸」である。
マルセ太郎を師と仰ぐ・・と言うのは、正しい表現ではない。マルセは生涯弟子をとらなかった。
マルセカンパニーという芝居劇団は率いていたが、彼独自の境地を開いた「ピン芸」と言われる
サルや鳥の形態模写、一本の映画を丸ごと演じきると言う「芸」に関しては弟子はいなかった。
趙さんは、マルセさんと親しくつき合ううちに、彼から様々な影響・薫陶を受け、直接習わなくても
五感でマルセ太郎のエキスを身体中に染み込ませたのだろう。今回、マルセ太郎ゆかりの
大阪でその類い希な芸を開花させたことに大きな拍手を送りたい。「マルセ伝承」ではなく、
「趙博の新たな挑戦」が新しい「趙博伝説」を作り上げた。現場に幸運にも立ち会うことができた
人々の感想に、私の拙い写真を添えて報告としたい。会場の興奮と感動が伝われば幸いである。
＜４月の歌うキネマ『ホタル』のページから＞

天王寺茶臼山舞台で映画『マルコムＸ』を演じるパギさん
写真は、ギャングのボスがマルコムと話すシーン

この日、趙さんの前座を務めたのは、桂小福さん。
パギさんイチオシの落語家さんである。
「毎回、僕が好きなひとをゲストに呼んでいます」とパギさん。昨年末の茶臼山年越しライブ
以来の共演だが、小福さんはホントウに面白い。私は、同じ週に田辺寄席でも小福さんの
落語を二題聞いたが、観客はずっと笑いっぱなしである。この日は、珍しくスーツ姿で
小話づくしと“南京玉簾”。鮮やかな手付きと巧みな話術に会場は笑いの渦に包まれた。

歌うキネマは“身振り・手振り”がふんだんに出てくるスクリーンのない映画館です

　　　　　　　　　　　　この日は普段のライブでは見慣れないおじさん達が多かったように思います。
みんな本当に楽しそうでした。

■　パギさんＨＰ掲示板の書き込みから転載

●leaf 題名：いよいよ今夜… 投稿日 : 2002年6月19日<水>12時09分

みなさま、パギやんの「歌うキネマ」第２弾「マルコムX」の初演がいよいよ今夜となりました。極秘に得た情報によると、パギやんはこの数週間、「マルコムＸ」の練り上げに、ほとんど全身全霊で打ち込んでいたようです。そして「自分でも笑ってしまう」ほどの仕上がりとのこと。
開場は午後６時半ですが、超満員が予想されますので、お仕事を早めに切り上げられることをオススメします。
みなさまのhotな感想、写真、その他いろいろお待ちしています。

●パギやん題名：I've managed to do that ... . 投稿日 : 2002年6月20日<木>01時05分/大阪府

なんとかやり終えました。もう、くたくた…
だけど、結構受けたので「いけたかな？？？」とも思います。
やっぱり「天王寺はハーレムや！」のコンセプトがよかった
みたい－－。
もっともっと練って・繰って、完成品に近づけます。
今日の「ハンディ字幕」は、近々HPにupします。
みなさん、Black English をば、勉強いたしませう！
（なんのこっちゃワカラン人は、次回、是非「歌うキネマ」にお越しを。）

●路上的旅人題名：魂ゆさぶられるマルコムＸ投稿日 : 2002年6月20日<木>00時03分

英語の演説シーンになった途端、茶臼山舞台の空気が明らかに変わった。黒人が何百人も集まって行進する場面では、茶臼山舞台が揺れた。そこは日本ではなくアメリカだった。
日本語の解説に戻った途端、場面は大阪になる。大阪弁で凄むギャングのセリフに、あの釜ヶ崎暴動のシーンが蘇る。これは「秀逸な話術」といったありきたりの評価を超えている。「真骨頂」という言葉は、この日の趙さんのためにある。
いつか、趙さん演じる大阪弁訛りのギャングが登場する『ブラックレイン』を見てみたい。